ごきげんよう、ケンジです。
街が華やかなイルミネーションに彩られ、どこか心浮き立つ季節となりましたね。皆様、2025年の投資成績はいかがでしたでしょうか。
利益が出てホクホクされている方も、思うような結果が出ず唇を噛んでいる方もいらっしゃるでしょう。相場とはそういうものです。一喜一憂せず、長く相場に居続けることこそが肝要です。
さて、本日は投資家にとって、大掃除と同じくらい大切な「年末の儀式」についてお話しします。
皆様のポートフォリオの中に、赤字のまま塩漬けになっている銘柄、いわゆる「含み損」はございませんか?
実はその「損」…今のうちに確定させることで、大切なお金を「税金」という形から守る盾になるかもしれません。
今回は、12月26日までに済ませておきたい投資家の節税術「損出し」について、穏やかに、しかし手堅く解説してまいります。
「損出し」とは? マイナスを資産に変える錬金術
投資の世界において、「損切り」は失敗と捉えられがちです。しかし、年末に行う戦略的な損切り、すなわち「損出し」は全く意味合いが異なります。これは「資産を守るための高度な防衛戦」なのです。
「損益通算」の魔法
日本の税制では、株式投資で得た利益(売却益や配当金)に対して、約20.315%の税金がかかります。特定口座(源泉徴収あり)をご利用であれば、利益が出るたびに自動的に税金が引かれているはずです。
しかし、もし同じ年に「損失」が出ていた場合、その損失額を利益から差し引くことができます。これを「損益通算」と呼びます。
例えば、今年すでに50万円の利益を確定させ、約10万円の税金を払っているとしましょう。
一方で、30万円の含み損を抱えている株がある場合、これを年内に売却して損失を確定させます。
- 損出し前:利益50万円に対し、税金約10万円
- 損出し後:利益50万円 – 損失30万円 = 実質利益20万円
→ 税金は約4万円で済む
つまり、差額の約6万円が還付されるのです。含み損をただ眺めているだけでは何も起きませんが、確定させることで「払いすぎた税金」が現金として戻ってくる。これが損出しのメリットです。
【ケンジのメモ:NISA口座にご注意を】
今回のお話は、あくまで課税口座(特定口座・一般口座)のお話です。NISA口座(成長投資枠・つみたて投資枠)での損失は、税務上「なかったこと」にされるため、損益通算はできません。
NISAの枠については、こちらの記事で年末の確認をしておきましょう。
2025年のタイムリミットは「12月26日(金)」
ここが最も重要です。カレンダーをご覧ください。
「年内の取引」として認められるためには、受渡日(うけわたしび)が12月31日以前である必要があります。
株式の受渡日は、約定日(売買が成立した日)を含めて3営業日目ではなく、制度改正により現在は「2営業日目」となっています。
- 12月26日(金):約定(最終売買日)
- 12月27日(土):休業日
- 12月28日(日):休業日
- 12月29日(月):受渡日までの日数カウント
- 12月30日(火):受渡日(2025年分最終)
12月30日が大納会(年内最後の取引日)ですが、この日に売っても受渡日は年明け(2026年)になってしまいます。
したがって、2025年分の節税を行うための最終デッドラインは、12月26日(金)の取引終了までとなります。
大人の余裕を持って、できればクリスマス前には済ませておきたいところですね。
失敗しない「損出し」の具体的ステップと注意点
では、具体的な手順を見ていきましょう。ただ売れば良いというものではありません。特に「買い戻し」を考えている方は要注意です。
STEP 1:今年の「実現損益」を確認する
まずは、証券会社のマイページで今年の「譲渡益税」や「実現損益」を確認してください。プラスになっていれば、損出しによる節税効果が期待できます。
STEP 2:含み損のある銘柄を売却する
「将来性がない」と判断した銘柄なら、そのままお別れする良い機会です。ポートフォリオの大掃除ですね。
しかし、「まだ持ち続けたいけれど、節税のために一旦損を出したい」という場合もあるでしょう。その場合は、売却後に買い戻すことになります。
STEP 3:【最重要】買い戻しは「翌営業日」以降に
ここが最大の落とし穴です。
同じ銘柄を「売った日と同じ日」に買い戻してはいけません。
税金の計算上、同日中に「売り」と「買い」を行うと、取得単価が平均化されてしまい、せっかく出した損失が計算上で消えてしまうことがあるからです。
▼ 失敗例(同日売買)
- 1,000円で買った株A(現在800円)を100株保有。含み損2万円。
- 12/10 朝:800円ですべて売却。
- 12/10 午後:800円ですべて買い戻し。
- 結果:税務上は「売却はなかった」ような計算(取得費が平均化され900円になる等)になり、思うような損失が計上されません。
▼ 成功例(翌日売買)
- 12/10:800円ですべて売却。
- 12/11:改めて800円付近で買い戻す。
これで確実に損失を確定させ、かつポジションを維持できます。1日分の価格変動リスクは負いますが、それが節税の対価と考えましょう。
【証券会社の設定も確認を】
損出しの作業をする際は、証券口座のログインが必要です。来年からの新NISA積立設定の期限も迫っていますので、合わせてチェックしておくのがスマートです。
▶ 【楽天証券】新NISA「2026年1月分」設定は12/12がデッドライン!
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もし「損失」の方が大きかったら?
逆に、「今年は利益よりも損失の方が多い」という方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、確定申告を行うことで、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます(繰越控除)。
来年以降に大きな利益が出た際、今年の損失と相殺して税金を減らすことができるのです。これもまた、転んでもただでは起きない投資家の知恵ですね。
まとめ:損出しは「負け」ではありません
損を確定させることは、心理的に抵抗があるものです。自分の過ちを認めるようで、辛い気持ちになるかもしれません。
しかし、私はこう考えます。
「損出しとは、膿を出し切り、手取りを増やし、次のチャンスに備えるための前向きな儀式である」と。
税金を取り戻せば、その資金でまた新たな優良株を買うこともできます。複利の効果を最大限に活かすためにも、税金コントロールは必須科目です。
12月26日までは、まだ時間があります。
温かいコーヒーでも飲みながら、ご自身のポートフォリオとゆっくり向き合ってみてはいかがでしょうか。
それでは、皆様の資産形成が実り多きものとなりますように。
ごきげんよう。


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